「料理で人を喜ばせたい」原点は子どもの頃の食卓だった
食卓が教えてくれた「人を喜ばせる力」
子どもの頃、僕の家には決して豪華な料理が並んでいたわけではない。でも、母が作るごはんには、なぜか人を笑顔にする力があった。疲れて帰ってきた父も、兄弟喧嘩のあとでも、夕食の時間になると自然と空気が和らぐ──そんな家庭だった。
僕は、その空気が好きだった。料理の力ってすごいなと思った。
「料理は、人の心を変えることができる」。
その体験が、僕の料理人人生の出発点になっている。
最初の一歩は「まかない」から
最初に心に残っている出来事は、妹に作ったチャーハン。作り方も完全にはわからないなか作ったチャーハンが本当に本当に美味しかった。
妹がが「お兄、このチャーハンすごく美味しい!!」と言ってくれた。その表情と言葉が、自分の中で忘れられなかった。
「自分の作ったもので、誰かが笑ってくれる」──この快感が忘れられず、僕はどんどん料理の道にのめり込んでいった。
喜ばせたい相手が変わるごとに料理も変わる
料理人になってからも、喜ばせたい相手は変わってきた。最初はお客様よりも先輩や上司。次は、自分の店に来てくれる常連の方々。やがて、記念日やプロポーズなど、大切な場面を任されるようになってきた。
「誰かの人生の中の、大切な時間に寄り添える料理」
そう考えるようになってから、食材の選び方、調理法、盛りつけ、全てが変わった。
今でも思い出す、母の肉じゃが
忙しい営業終わり、頭が疲れているときにふと食べたくなるのが、母の肉じゃがだ。甘辛くて、ホクホクして、何よりも“あのときの空気”がよみがえる。
僕の料理にも、そんな「記憶を呼び起こす力」が宿るようにしたい。
それは、高級な食材や奇抜な技法ではなく、“心”だと思っている。
人を喜ばせる料理とは?
今、僕が思う「人を喜ばせる料理」とは、
• 驚きよりも“安心”を届ける料理
• 会話が生まれる料理
• 食後に温もりが残る料理
料理はエンタメじゃない。人と人をつなぐ“手段”だ。
だから僕は、毎日の営業で“誰かの笑顔”を想像しながら、料理を作っている。